こんにちは!はたらく栄養の「ようこ」です。
脂質は、脂がのった肉、加工食品や洋菓子など身近な食品に多く含まれており、脂質の摂りすぎによる健康リスクが心配されています。また、逆に脂質不足は肌の乾燥を引き起こし、摂り過ぎはニキビなどの吹き出物の原因となるなど、肌トラブルに深く関係しています。肌と脂質の関係や、肌トラブルを防ぐ方法をリオ博士に詳しく聞いてみましょう。
脂質の特徴や働きが知りたい…
脂質には、オリーブオイルなどの常温で液体の油と、バターや肉の脂身などの常温で固体の脂があります。脂質は、1gあたり9kcalと三大栄養素の中でもっともカロリーが高いため、ダイエットの大敵とされ、カロリーを気にする女性には避けてしまいがちな栄養素です。
しかし、脂質は体のエネルギー源となるだけでなく、体の細胞膜の成分やホルモンの材料にも利用されています。また、脂溶性ビタミンの吸収を高める作用があるため、脂質を効率よく吸収する効果があります。脂質が不足するとビタミン欠乏を引き起こす可能性もあるので、摂りすぎには注意が必要です。しかしながら脂質は体にとって欠かすことのできない重要な栄養素です。
脂質が起こす3つのトラブル
体にとって欠かすことのできない重要な栄養素である脂質ですが、摂りすぎには注意が必要です。脂質が原因となって引き起こされるトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか?脂質の過剰摂取によって起こる症状や、病気のリスクなどを詳しく解説していきます。
1|肥満
脂質は少量でもカロリーが高く、体脂肪として体内に蓄積されやすいため、摂りすぎによって肥満を引き起こす原因になってしまいます。肥満とは太っている状態のことで、病気ではありません。しかし、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧などの発症頻度が高まるため、注意が必要です。
2|動脈硬化
脂質を摂りすぎると、血液中の悪玉コレステロールを増加させると同時に、善玉コレステロールを減少させて、脂質異常症を引き起こす可能性があります。悪玉コレステロールの増加と脂質異常症によって動脈硬化を進行させてしまうのです。動脈硬化は血管が詰まりやすくなるため、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
3|ニキビ
ビタミンB群は、脂質の代謝を促進して、ニキビの原因となる皮脂の分泌を調節する働きがあります。しかし、脂質を摂りすぎるとビタミンB群が不足してしまい、皮脂の分泌量を適正に保つことができません。すると、肌の皮脂バランスが崩れてしまい、ニキビなどの肌トラブルを引き起こしてしまいます。
脂質が起こす3つのトラブル
- 高カロリーの脂質によって肥満になり、脂質異常症や高血圧の発症頻度が高まる
- 動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる
- 皮脂の分泌量が過剰になり、ニキビなどの肌トラブルを引き起こす
脂質の多い意外な身近な食べものに注意
脂質といえば、調理に使用するサラダ油や、肉の脂身を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかし、じつは意外な食品に多くの脂質が含まれていることがあります。私たちは、気づかないうちに脂質を摂りすぎてしまう可能性があります。具体的に、脂質が多い身近な食べ物をご紹介します。
1|アボカド
アボカドは「森のバター」といわれるほど、じつは脂質を多く含んでいる食品です。アボカド1個(可食部140g)あたり26.2gの脂質が含まれており、カロリーは262kcalです。アボカドに含まれる脂質は良質な不飽和脂肪酸ですし、ビタミンやミネラルを豊富に含む栄養価の高い食品ですが、食べ過ぎには注意が必要です。
2|ナッツ
糖質量が少なく、ヘルシーなイメージがあるナッツ類ですが、意外と多くの脂質を含んでいます。例えば、くるみ20gあたりの脂質量は13.8gです。ナッツは、スナック感覚でつい手が伸びてしまい、気づいたら食べすぎてしまっていたということにもなりかねません。食べる分だけ小分けにするなどの工夫が必要です。
3|ココナッツ
ダイエット食品として話題になったココナッツですが、じつは脂質が多い食品です。お菓子作りに使用されるココナッツバウダー10gあたりの脂質量は6.6g、グリーンカレーに使用されるココナッツミルク100gあたりの脂質量は16gです。脂肪燃焼効果が期待できる中鎖脂肪酸を含んでいますが、脂質が多くカロリーが高いことに変わりはないので、摂りすぎには注意しましょう。
4|チョコレート
子供から大人までみんな大好きなチョコレートですが、一般的な板チョコ1枚(約50g)あたり17gもの脂質が含まれています。ミルクチョコレートには砂糖も大量に含まれており、高カロリーなので食べ過ぎには注意しましょう。しかし、チョコレートにはビタミンやミネラルも豊富に含まれており、じつは栄養価が高い食品です。
脂質によるお肌トラブルの防ぐ方法
脂質の摂りすぎは、肌の皮脂バランスを崩してしまい、肌トラブルを引き起こす原因となります。では、どうすれば防ぐことができるのでしょうか?ニキビや肌荒れなど、脂質によるお肌のトラブルを防ぐ方法をご紹介します。
1|ビタミンB2を摂取する
レバー・納豆・プロセスチーズなどに含まれるビタミンB2は、脂質の代謝に欠かせません。細胞の再生を助け、成長を促進し健康な肌をつくったり粘膜を保護する働きがあります。また、老化の原因となる過酸化脂質の発生を抑える働きもあるため、肌トラブルを防止する効果が期待できます。
2|ビタミンA・C・E(エース)を摂取する
美しい肌を保つのに欠かせない抗酸化作用をもつビタミンA・C・Eは、3つまとめてビタミンエースといわれ、これらのビタミンには、皮膚や粘膜を健康に保ったり、細胞膜を酸化から守る働きがあります。さらに、お互いの働きを高める相乗効果が期待できるため、まとめて摂取するようにしましょう。
3|脂質の種類に気をつける
一口に脂質といっても、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸などさまざまな種類があり、体にもたらす影響もそれぞれです。マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は、体内で消化分解する際に多くのエネルギーを必要とするため、消化器系に負担をかけてしまい、ニキビなどの肌荒れを誘発する可能性が高いといわれています。
一方、青魚やクルミなどに含まれるオメガ3脂肪酸には、代謝をよくして肌のターンオーバーを整えたり活性酸素によるダメージから肌を守って老化を予防したりするなど、美肌効果が期待できます。このように、種類によって肌に与える影響も違うため、体によい脂質なのか見極めるようにしましょう。
脂質について正しく理解して美容と健康に役立てよう
三大栄養素のひとつである脂質は、私たちが生命を維持していくうえで欠かせない重要なエネルギー源です。しかし、脂質の摂りすぎは肥満や、生活習慣病を引き起こし、肌荒れの原因となるなど、美容面でも悪影響を与えます。脂質の種類や摂取量に気をつけ、脂質の代謝を促進するビタミンを摂取して、美容や健康に役立てましょう。